奇跡の軌跡

恋に落ちてしまった私の物語

理由

夜の魔物はとても強くて、一瞬で私を闇に引きずり込み全てを台無しにする程のダメージを喰らわす。

明け方、「彼が大切なら、彼の大切にしている人達を傷付けちゃダメだ!手離す事も立派な愛だ!」とかって考えが頭をもたげ、小さな決心をさせる。


でも朝からのモーニングコールで

「◯◯、おはよう」と私の名を呼ぶ彼の声を聞くと、めきめき元気になり、夜の魔物は消え失せる。毎日こんなだ。


今日は、また仕事でこちらに来ているようで、

お昼前に彼から「一時間後にランチどう?」と待ち合わせ場所の地図付きでメールが届いた。


慌ててシャワーを浴び、髪を乾かし軽く化粧をし彼のもとに車を走らせる。

「会える!会える!会いたい!」気持ちがはみ出そうで困る。

この瞬間は、この気持ちが不倫とか許されないとか、全部吹っ飛んで単純に恋愛における男と女でしかない。

パーキングに着くと車内でパソコンに向かい仕事をしている彼の車に横付け。

全然気づいていないみたいで、窓越しに少し彼を眺めてた。 瓶に詰めて持って帰りたい....

私にやっと気付いた彼はニッコリしてくれた。

抱きつきたい衝動に駆られたけど、ここは会社近辺。

少し距離を取って歩く彼。


お目当てのカフェは貸切中で入れず、彼のリードでお好み焼き屋さんへ。


話の流れで、元彼と私との付き合い方の話になった。

10年付き合っていた事を知ると、さすがに彼も驚いていた。なんでそんなに長い事付き合っていたの?と問われ、最初は結婚する気がなかった事。私が病気で子供を産めない身体になってしまった事、彼も子供は欲しがっていなかった事、別れたり復縁したりで、気付いたら10年以上経過してしまっていた事を告げた。

私から復縁を迫った事は一度もなく、彼から途中、結婚を前提に付き合って欲しいと言われた事、安定した生活を望んでいた事を話した。


長年付き合っていた理由...絶対に暴力振るわないのと、閉じ込めたりしない、人間性を否定しない、生きるか死ぬか迷わなくていい、お酒飲んでも人変わらない点かな。すごく基準が低いけど。

これがなければ、他は我慢できるかなと思ってた。

元彼の子を産みたいとは一度も思った事はなく

信じたら救われるのかなって思ってた。

望んでいた安定した生活とは、金銭面ではなく、朝起きたら毎日隣に誰かいてくれる気配とか、雨の日は駅まで迎えに行ってあげたり、寒い日は灯油の補充お願いしたり、携帯が旦那さん名義にして貰えて家族割引とか受けれたり、家電が壊れたら相談できたり、めっちゃ些細な事に憧れてた。

だから最後まで、大事にして貰えなくても安心は出来るかもって間違った認識でいてた。

でも結局私が捨てられちゃったんだよね~


そんな風に話す私に、過去の事は気にならないよ。

むしろ、過去の事をこうして話せるって事は前進してるんだよ!

これからは前を向いて歩いて行こうねと言う彼に、

「前なんか向けない。未来を見ようとしたら悲しくなるから、私は上を向く!前は見ない!」と言い返してしまった。


大通りから少し離れた道を歩く時、一瞬手を繋いだ。

ダメ?と聞く私に優しい声で「いいよ」って言ってくれる彼が手を繋いだままポケットに導いてくれたけど、やっぱりダメだと思い、素早く手を離した。


代わりにペロンってお尻を痴漢したった。

笑ってた。


「毎日逢いたいよ、本当にそう思う」

「私は会いたいって思うんじゃなくて、ずっと一緒にいたい....離れている事に違和感を感じる」と自信なさげに小さい声で伝えた。


「わかるー!その感じ」と彼。

全部初めてな事を伝えた。

誰かの腕の中で眠った事も、ベッドの中でも自分から積極的に彼を愛する事も、こんなに好きな気持ちが溢れて、言葉にしてしまう事も。

身体も虜にしたいって気持ちも。


今までこんな風に愛された事ある?って聞く私に、「ないし!乳首舐められたのも初めてや!身体も虜にって言うけど、十分虜になってしまってるよ!」と、エロイ答えをくれた。


どちらかと言うと、全部苦手だった。

男性を気持ち悪い、汚いと思っていたのに、彼には何だってしてあげたくなる。

汚いだなんて1mmも思わない。笑わせたい!気持ちよくさせてあげたい!ただひたすらそう思う。


春の日差しを感じながら、こんな会話すら笑いながら話せる自分を嬉しく思った。

一年間ずっとずっと泣いて、泣き崩れて誰とも接触せず、閉じこもり時間が経過するのを待っていた。

どれだけ時間が経過しても苦しみは、埋まらなかったのに、今靴を履いて歩いてる。


お昼をご馳走になったので、せめてコーヒーを彼に買ってあげようとしたら、逆に彼が私の晩御飯にと、サンドイッチを買ってくれた!

お釣りはコインパーキングの代金にしな!とくれた。


キスしなくていいの?と別れ際に聞く彼。

誰もいない事を素早く確認して、彼のほっぺを両手でムギューって引っ張りながら、ブチューってしたった。

2人で笑った。


どう考えても、私の前に舞い降りてきたヒーローなんだよね。彼は。


....今日も別れようと思っている気持ちを持っている事言い出せなかった。

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