奇跡の軌跡

恋に落ちてしまった私の物語

DV

まだDVと言うワードが浸透していなかった頃、私は元旦那から殺されかけた。


2年付き合って結婚した彼とは、中距離恋愛で、婚前にお酒を酌み交わした事がなかった。

私と彼の休みがズレていたので、お泊まりやお酒を飲む機会がなく結婚してしまった。

プロポーズもなく、彼が一軒家を購入し、なし崩し的に結婚に至った。

彼からの猛アピールで始まった関係だったけど、いつしか私も彼の事が大好きで、だから結婚できるのは嬉しかった。


披露宴が終わり、そのままアメリカへ新婚旅行へ行った。

地獄の始まりだった。

婚前交渉はあったものの、いわゆる初夜で暴力が始まった。

お酒に酔った彼が、部屋で私に土下座を強要してきた。最初は冗談だと思って相手にしなかった。

突然の平手打ちで、冗談でない事に気付いた。

彼の言い分では、「今までお前に我慢してきた。結婚したからには、今日からお前は俺の物。まずは、お前の両親の態度が気にくわないから、土下座を」との事だった。

血の気が引いた。

理解が出来なかった。

そんな私を殴る蹴るで、彼は力で屈服させようとした。

身の危険を感じた私は、とりあえず土下座をした。

でもどうしても、お詫びの言葉がでない私。

そもそもなぜ謝らなければならないのか、理解が出来ない。

うな垂れて、泣いている私に彼は飲んでいた熱いコーヒーを頭からかけた。

後に火傷で頭皮が赤くなりただれた。

逃げようとして咄嗟に、窓から飛び降りかけた。

そんな私を後ろから羽交い絞めにし、ベルトでベッドの淵に縛られた。


帰国したら、逃げよう、逃げようと思っていた。

地獄のような新婚旅行が終わり、日本に戻ると空港には義両親が迎えに来ていた。

ゲートを出る時に、旦那が私の耳元で囁いた。

「わかってるよね?おかしな事言ったら、殺すよ?」

もうこの頃には、歯向かう気力はなかった。


彼は計算高く、その後2年続いた結婚生活で、見える位置にはアザがつかないようにしていた。

ただ一度本当にもうダメだと思い、助けを呼んだ事がバレた後に「口がきけなくなるように」

顔が変形する位に殴られ、口の中も切れまくり、唇も腫れてると言うには説明つかない位の状態にされた。

言葉通り、暫くは話せなかった。


それでも、最初の内は暴力に屈したくない気持ちもあり、抵抗をしていた。

だけど、抵抗すればする程に激しくなる事を身を持って理解し、途中からは完全に無抵抗になった。

自分なりに、始まったと思ったらどの角度で殴られたり、蹴られたりすれば一番痛みはマシか、力の入れ具合とかに一番気を配った。


2階から突き飛ばされ、一階まで転がり落ち、頭を打ち失神した事も何度もある。

意識を失いきれず、ヨダレ?が出ていたようで、汚いとさらに殴られ気を失い放置され気付いたらまる一日経過していた事も。


車道に突き飛ばされ、轢かれそうになった事も。

カミソリで手首を切られた事も。

包丁を血が滲む程首に当てられ、脅された事も。

首を絞めらた事も。

高速の上で横からハンドルを取られ、思いっきりスピンした事も。

走っている車の中から、蹴り落とされた事もある。


一番キツかったのは、1月だったか2月だったか、普通にしていても寒い日に、下着姿で家の外に放り出された事かな。

素足にアスファルトは、ガラスが刺さるような痛みがあり、本当に凍えた。

行くあてもなく、ご近所さんの目もあり、またご近所に助けてって言う事で、旦那にバレた後、殺されるかもって恐怖しかなく、朝が来るまで凍死しないように待つしかなかった。

何度かされたけど、2回目以降は裏庭に新聞と靴を隠しておいたから、1回目よりは耐えられた。


朝になると、ご近所さんの目があるので、旦那は家に入れてくれた。

それでも「罰」は続き、お風呂場や、押入れ、物置などに閉じ込められた。

絶望と空腹間に何十時間も耐えた。

逃げようと思っても、手足を縛られているので、逃げられなかった。

縛られていなくても、精神的に怖くて逃げられなかったケド。


一度39℃超えの高熱が出て、死にそうな時には和室に閉じ込められた。風邪?が移ってはいけないからって。

普段使う事がなかった和室には布団も置いてなくて、暖房器具も置いてなくて...

座布団が何枚かあったから、それを敷いて被って...それでもすごく寒くて。

でも廊下に通じる引き戸には、何か棒を噛ませているみたいでドアは開かない。

まさか、和室に閉じ込められるだなんて思ってもいなくて、外よりいいんだけど、笑ける位悲しくて。

押入れにあった、風邪薬を2瓶飲み干した。

もうどうなってもいい思いで当てつけに。

2日半意識失っていた。

筋肉も緩んだ?で、座布団にはオシッコも漏れていたみたい。

旦那は途中、生存確認にドアを開けて確認はしていたみたい。

「風邪薬2瓶開けたのも知ってる。死ぬかなーと思って観察してた」って言われて、やっと洗脳が解けた。

好きだったケド、もうダメだ。

やり直し出来ない所まで、私に気持ちがないのを痛感した。


全部何がきっかけとかじゃない。

全て彼の機嫌でおもちゃのようにされていた。

大概はお酒が入るとだけど。

真夜中3時に帰宅し、寝ている所を蹴り上げられたり、足の骨が折れた事もある。

年中半袖は着れなかった。

身体中が、模様ですかって位にアザがあった。

結婚してた中で、アザがない日なんて一度もない。


そして、離婚前後の記憶が私にはありません。

先生曰く、心に蓋をしてしまってわざと記憶喪失になっている状態だそう。

そうでしか自分を守れなかったと。

離婚したのが、春なのか、夏なのか秋なのか、それとも冬なのか、本当にわからなくて。

どうやって離婚届を書いたのか、出したのか、話し合いしたのか、思い出せない。

記憶がスポッと抜けていてページが飛んでいるみたいです。


離婚後は心神喪失状態に暫くなってしまいましたが、PTSDと診断され本当に大変だった時期は、それから4年後位かな。


未だにこの時期の事を思い出すと、心臓がバクバクして、吐きそうになる。

テレビ番組や、誰かの話でDVや、暴力の話になると、気持ち悪くなる。


もちろん、私にも非はあった部分もあるかもしれない。でも人として人格否定されるまでの事は何もしていないのは事実。


本当に痛かったのは、身体じゃない。

私の大好きだった彼の手が、結婚前には髪を撫でていてくれた同じ手が、私を殴っている事実。

身体の痛みより、心の痛みの方が断然痛かった。今でもそれは思う。


彼には話せないけど、ここに書き留めておきます。

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